私の中におっさん(魔王)がいる。~黒田の章~

 * * *

「……赤井セイ。小関だ。今朝から総指揮をしていた。元は歩兵隊の小関だ」
「宮田ハル。小関。空軍です」

「瞥鈴(べつすず)。空軍の小関をさせて頂いています」
「波野倖近(なみのゆきちか)。四足竜の小関をしている」

「会田岳時(あいだたけじ)。喰鳥竜部隊の小関だ」
「油南(ゆなん)。私も、四足竜隊の小関だ」

「豪(ごう)。俺は、喰鳥竜の小関だ。もう一名の喰鳥竜の小関は、夜間の警護の任に就いている」
「弘炉(ひろ)。小関。四足竜隊だ。もう一人の四足竜隊の小関は死亡が確認されたから、もうおらん」

「友獅(ゆうし)。歩兵隊の乎関です。今は一時的ですが、歩兵隊の小関も任されております」
「双陀(そうだ)翼。喰鳥竜隊の関だ。夜間警護の小関に代わって、会議に参加している」

 それぞれの自己紹介を聞いて、ろくはうんと頷いた。

「覚えた」
「総指揮官殿のお名前は?」

 豪の質問に、ろくは片眉を吊り上げた。

「名乗る必要ある?」 
「十分にあるかと思いますがね」
「……ろく」

 総指揮官と呼べば事足りるだろ。と、思いつつもろくは渋々と名乗った。
 名乗らない理由もなかったが、なんとなく面倒でもあった。けれど、名乗る名乗らないで揉めている時間もなかったし、さっさ作戦会議に移ってしまいたかった。
 しかし、始まった作戦会議は、大よそ会議と言えるものではなかった。
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