私の中におっさん(魔王)がいる。~風間の章~

 * * *

 私が目覚めた場所は、病院のベットだった。
 どうやら私は、通学路で倒れていたらしい。
 通勤途中のサラリーマンが見つけて救急車を呼んでくれたらしいけど、別に命に別状はなかったみたい。

 ただ、チャイナ服のような物を着ていて、風呂敷包みに制服を入れていたらしい。私も見てみたけど、何故か、三枚の綿パンツが入っているだけだった。

(……買ったのかな?)

 お母さんと警察の話じゃ、他には何も持っていなかったらしい。警察官は目覚めてからわりとすぐにやってきて、あれこれと事情を聞かれたけど、どの質問にもちゃんと答えられなかった。

 二日間の検査入院の間、かなこや他の友達もお見舞いにきてくれた。かなこは、無理に盛り上げようとしてくれて、でも、堪えきれなくなって大泣きした。

 私がいなくなって、すごい寂しかったって。死ぬほど心配したって泣いて、みんなもそんなの同じだよって、言ってくれて号泣した。
 私も嬉しくて、一緒になってわんわん泣いた。
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