私の中におっさん(魔王)がいる。~風間の章~

 * * *


 翌朝、早朝。灰楼での宿と変わらないボロさの宿の寝台から起き上がる。兎様では部屋が二部屋とれたので、昨夜はゆっくり眠れた。
 ……はずなんだけど、

 身体がだるい。
 なんだか、熱っぽいような気がしないでもない。
(疲れが出たのかな?)
 でも、歩いてるうちにきっと治るよね。でないと、風間さんに迷惑かけちゃう。多分風間さん、焦ってるんだと思うんだ。

 だって、あれ、絶対私が速いと思ってることわかってると思うんだよね。ただのカンなんだけど。
心配してくれるくせに、歩くペース変えないし。多分、雪村くんのことで焦ってる。早く雪村くんの安否が知りたいんだろうな。

 だから、迷惑かけるわけにはいかない。
 今日、際弦に着いたら、ゆっくり寝れば治るでしょ。

「うん」

 私はひとりで強く頷いて、身支度を整えた。
それから私達は、早朝からやっている茶居と呼ばれる軽食屋に入って、軽く朝食をすませた。茶居は、カフェみたいなものらしい。お茶やお菓子、軽食である点心を楽しむところなんだとか。
 茶楼と呼ばれるところもあるらしいけど、そこは少しお高いらしい。

 お昼はひもじいから、今のうちにいっぱい食べないと。
 言っちゃなんだけど、旅の途中で食べる豚竜の干し肉や非常食は美味しいとはいえないもん。豚竜はまあ、味はあるけど硬いし。非常食の糒はお米の味しかしない。味の濃いものばっか食べてきた私としては、塩気が欲しいよ。ポテチの塩気と油が!

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