御坂くん、溺愛しないで。
「もし咲が嫌って言うんだったら、もう二度と咲と一緒に学校行かないからね」
「へ…」
「どうする?」
そんなのずるい。
私に拒否する権利がないのも同然だ。
「やるなら今しかないよ、克服。
きっかけは大事だからね」
じっと私を見つめてくる琴葉に対し、思わず目をそらしてしまう。
だって克服だなんて簡単なことじゃない。
難しくて辛いものだと思う。
目を合わせるのすら怖くてできない人間が、克服することだなんてできるのだろうか。
「どうする?咲、早く選んで。
克服に挑戦しますか」
そう考えただけで不安でたまらなくなるけれど、拒否権のない私は頷くことしかできなかった。