御坂くん、溺愛しないで。
ぎゅっと財布を握り、意気込んで食堂に並んだけれど───
「嘘、売り切れ…ですか」
「ごめんね、今日は珍しく売れちゃったのよ」
なんと今日に限ってミルクプリンが売り切れたようだ。
せっかくここまで並んだというのに。
「あーあ、残念ね咲。
普通のプリンにしたら?」
「ミルクプリンがいいんだもん……諦める」
「あー、すぐ拗ねちゃって。
買わないなら行くよ、私は飲み物買ったし」
いつまでもミルクプリンを諦めきれない私を見て、琴葉が腕を引いてきた。
私はため息を吐いて琴葉の後ろについていく。
「あっ」
トボトボ歩きながら俯いて床を眺めていると、突然琴葉が声を上げて立ち止まった。
気になった私はゆっくりと顔を上げる。