御坂くん、溺愛しないで。
*
それから最寄り駅に着くなり、私と琴葉は並んで歩き学校へと目指す。
「咲、そんな拗ねない。もう高校生なんだから」
「……拗ねてないもん」
「拗ねてるでしょ?
幼なじみなんだから見ればわかる」
なんでもお見通しの琴葉は、不機嫌である私を見てため息を吐いた。
だってそんなの、不機嫌になるに決まっている。
いきなり男嫌いを克服しろと言われた挙句、軽く脅されたのだ。
琴葉がいないと朝、学校に行けなくなってしまうというのに。
それをわかっていて琴葉はあんな風に言ってきたのだ。
「ほら、もうすぐ学校!
同じクラスだったらいいのにね」
「うん」
それは絶対そう。
琴葉が隣にいてくれれば怖いものなしである。