御坂くん、溺愛しないで。
「木原ちゃん、ありがとう」
筧くんは素直に頭をあげてくれ、安心したようにホッと息を吐いた。
もしかして私が拒否すると思ったのだろうか。
「そうと決まればまず、理玖のこと全部話さねぇとな」
「そうね。
知ってからじゃないと何もできないだろうし」
ふたりとも目を合わせてコクリと一度頷いたかと思うと、私のほうを向いた。
「あのね、咲」
「は、はい…!」
「理玖はバスケが本当に上手くて、今高校二年である私たちの代が引退する前から次期エースだと言われていたの」
そして始まる御坂くんの過去の話。
次期エースだなんて簡単になれるものじゃない。
やっぱり御坂くんはすごい人だ。
「実際に俺たちの代が引退した後、理玖はエースに選ばれたしな」
琴葉の言ったことに対して筧くんは数回頷き、話を付け加える。