御坂くん、溺愛しないで。
「咲は健気だね。きっとその気持ちだけでも理玖、聞いたら嬉しいと思うだろうなぁ。
録音しとけば良かった。ね、もう一回言ってよ」
「い、嫌です…!」
改めて言うとなれば恥ずかしい。
それにどれだけ御坂くんのことを考えてるんだって、本人に引かれるかもしれない。
「えー、いいじゃん減らないでしょ」
「御坂くんに引かれるかもしれないから嫌です!」
「つまんないの。
録音して理玖に送ろうと思ったのに」
嫌に決まっているというのに、なぜかため息を吐かれてしまう。
「あっ、そうだ。理玖との時間が足りないなら、お昼一緒に食べるなり一緒に帰るなりしたら?
咲から誘えば理玖だって断れないでしょ」
「そ、そんな先輩の圧力は良くないよ」
「いや、そういう意味じゃなくて。嬉しいと思うよ理玖も。本当は一緒にいたいのに気を遣ってるって場合もあるかもしれないし」
それはないだろうと思った私は首を小さく横に振る。