御坂くん、溺愛しないで。
無意識なのだろうか。
御坂くんはひと言も話さずに、ただじっとバスケ部の様子を眺めていた。
その時にぎゅっと右手を強く握り、拳をつくっていて。
まだまだ捨てきれてないということが十分伝わってきた。
「……あっ、すみません」
それから少しして、我に返った御坂くんは掠れた声で謝ってきたかと思うと歩き出してしまう。
まるで逃げるように歩くスピードが速く、慌てて御坂くんを追いかけた。
本当にこのままでいいのだろうか。
御坂くんを見る限り、このままではいけない気がする。
「み、御坂くん…!」
さすがに御坂くんの歩くスピードが速すぎたため、思わず名前を呼べば彼は足を止めてくれた。