御坂くん、溺愛しないで。



「先輩、すみません…」
「ううん、大丈夫。歩くの遅くてごめんね」


私がトロいせいで御坂くんを呼び止めてしまったのだ。


「いや、先輩は何も悪くないです。
アイス、買いに行きましょう」


眉を下げて作り笑いを浮かべた御坂くんを見て、ぎゅっと胸が締め付けられる。

うまく笑えていない御坂くんに、私は何をしてあげられるだろう。


結局コンビニでアイスを買った後も御坂くんの表情は晴れることなく、気まずい空気のまま駅へと歩く。

ついにアイスも食べ終わってしまい、さらに沈黙が気まずくなってしまった。


「すみません」

この沈黙をどう破ろうかと考えていると、なぜか御坂くんに謝られる。


「御坂くん…?」

「こんな空気にしてしまって。
もう大丈夫です」


そう言って笑う御坂くんだったけれど、やっぱりうまく笑えていない。

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