御坂くん、溺愛しないで。



「すみません、やっぱり忘れてください」
「え、どうして…嬉しかったのに」

「早く行きましょう」
「待って、靴履き替えてないの」


先に行こうとする御坂くんのシャツを掴み、慌てて呼びとめる。

靴を履く時だけだというのに、体が勝手に動いて彼を引き止めてしまったのだ。


「先輩、今日はたくさん俺に触れてきますね」
「え、あっ…嫌、だった…?」


これまでは私が怖がっていたけれど、今は平気になっているため今度は御坂くんがうざがっているかもしれない。

そう思うと不安になり、恐る恐る聞いてみた。


「そんなに落ち込まないでください」
「だって御坂くんが…」

「あまり触れられると俺自身も耐えきれなくなります」

「耐える…?」


触れられると耐えられないって、嫌だということではないのだろうか。

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