御坂くん、溺愛しないで。
「誤解しないでくださいよ?
俺だって触れたくなる時があるんです」
「触れ、る…」
主語を言ってくれないとわからない。
まったく伝わっていないため、首を傾げていると御坂くんにため息を吐かれてしまう。
「例えばこんな風にです」
あまりにも私がわからないからだろう、例えばの話をしてくる彼。
かと思えば突然御坂くんの手が伸びてきて───
私の頭にその手を置かれた。
あまりにも急だったため、びっくりしてしまう。
けれどもう一瞬たりとも恐怖心をいだくことはなかった。
「御坂くん?」
「どうしてもう怖くないんですか」
「えっ…」
普通なら喜んでくれてもいいところなのに、なぜか不服そうな様子の彼。
どうしてだろう。
御坂くんのおかげで慣れてきたというのに。