御坂くん、溺愛しないで。
「ダメだ、行きましょう先輩」
「は、はい…!」
恥ずかしさに耐えることしかできないでいると、ようやく御坂くんが手を離してくれた。
慌てて運動靴を履いた私は、御坂くんと一緒に家を後にする。
「御坂くんの家はここから遠い?」
「いや、十分過ぎるくらいだと思います」
「そうなんだ」
「だから意外と近いです」
そう言って微笑む御坂くんから思わず顔を背けてしまう私。
先ほど頬に触れられてから、変に緊張している自分がいる。
「木原先輩?」
「バ、バ、バスケ!あまりできないと思うから、教えてくれると嬉しいです!」
「わかりました。厳しく教えたほうがいいですか?」
き、厳しくって…考えただけでもゾッとした私は首をブンブンと横に振った。