御坂くん、溺愛しないで。



「冗談です。
厳しく教える主義じゃないんで安心してください」

「じょ、冗談ってひどい…」


「先輩がかわいい反応するから。
男が意地悪したくなる理由がわかります」


“意地悪”という言葉に過剰な反応を示してしまう。

御坂くんは今、私が意地悪される理由がわかると言った?


「どうして私は意地悪されるの?
小学校の時、それが怖くて…」

「先輩の反応を楽しんでいるのと、構ってほしいからですかね」

「えっ…」

「うまく表現できない結果、意地悪してしまうんです」


私の泣く反応を見たいから意地悪されていたの?
私に構ってほしいから?

前者はあり得るだろうけれど、後者は絶対に違う。
私の反応を楽しんでいただけだ。


「り、理不尽だよ…私、苦しかったのに……」
「もう大丈夫です、先輩」

「へ…」

「俺が先輩を守るから、頑張って男嫌いを克服しましょう」


そんな風に言われてしまったら、何も返せなくなる。
逃げ出せなくなる。


「わ、わかった…御坂くんと頑張る」

御坂くんがいれば怖くない。
本当にそう思えたから、私は力強く頷いた。

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