御坂くん、溺愛しないで。



「先輩?」
「あっ…はい!」

御坂くんに呼ばれてハッと我に返った私は、慌てて返事をした。


「無理はしないでくださいね。
怪我は危ないんで」

「気をつけます…!」


今の御坂くんも、キラキラ輝いているように思える。
ボールを手に持つ彼はどこか嬉しそうに見えた。

ああ、バスケが好きなんだなって。
今見ただけでも十分にそれが伝わってきた。


それから始まるバスケの時間はあっという間に過ぎていき。

案の定、バスケがまったくできなかった私に御坂くんは優しく教えてくれた。


基本となるパスもうまくできずに恥ずかしかったけれど、御坂くんが丁寧に教えてくれたため、基本的なことを上達していくのが自分でもわかった。


実際に御坂くんが見本を見してくれた時は、あまりの上手さに言葉を失ったけれど。

忘れていた、中学の時から御坂くんが有名だったことに。


琴葉がよく『男バスの後輩に上手い人がいる』と言っていたことも同時に思い出した。

きっと御坂くんのことを言っていたのだ。

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