御坂くん、溺愛しないで。



最初は見つめ返されたけれど、視線を逸らしてゆっくりと俯く御坂くん。


「嬉しいです」
「えっ…」

「バスケの楽しさ、先輩に伝わって」


手に持つバスケットボールを見つめながら小さく笑う御坂くんは嬉しそうで。


「俺、やっぱり好きです」

一瞬何のことかわからなくて戸惑ったけれど、御坂くんの穏やかな表情を見て伝わった。


御坂くんの言いたいことはきっと───


「自分の中で切り離せないほどバスケが好きみたいです、俺」

御坂くんは笑う。
そんな彼の瞳は澄んでいて、綺麗だ。



「うん…私にも伝わったよ」
「本当ですか?」

「本当です!
御坂くん、バスケが大好きなんだなって」


ふたり見つめ合い、そして笑い合う。
心がポカポカと温かくなるのがわかった。

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