御坂くん、溺愛しないで。



「だから全部投げ出して、推薦も断って。
高校では続けないって決めていたのに…」

ただバスケットボールを一点に見つめていた御坂くんが、顔を上げて私と視線を交わせた。



「先輩を見てると逃げずに向き合おうと思えました。今日ボールに触れて、やっぱり好きだなって」


御坂くんから視線を逸らせない。
御坂くんも私から視線を逸らさない。

ずっと苦しんできた中で見つけた答え。
それは前向きなもの。


「木原先輩、ありがとうございます。
もし先輩がいなかったらずっと逃げてた気がします」

「そんな、私は何も…それに琴葉や筧くんのほうがずっと心配してて……」

「それでも気づかせてくれたのは先輩です」


御坂くんが優しく笑うから、つられて私も笑顔になる。

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