御坂くん、溺愛しないで。
あまりにも大きな声だったため、教室が静かになる。
「なあ琴葉!」
「何よもう…」
叫んだ相手は筧くんで、琴葉にすごい勢いで迫っていた。
怖くなった私は少し筧くんと琴葉と距離をとり、ふたりを見守る。
そんな筧くんの右手には一枚の紙があり、それを琴葉の目の前に差し出していた。
「理玖が、理玖がさっき入部届けを渡してきたんだ!ほらこれ理玖の字だろ!」
「えっ、嘘!理玖が!?」
「あとはこれを監督に提出したら理玖もバスケ部だ!」
本当に嬉しそうな顔をするふたり。
どうやら御坂くんはバスケ部に入ることを決意したらしい。
「なあ木原ちゃん!
木原ちゃんのおかげだよ、本当にありがとう!」
「えっ、いや…私は何も」
「ほら秀太!これ以上咲に近づかない!」
筧くんが私との距離を詰めようとしてきたため、思わずビクッとしてしまう。