御坂くん、溺愛しないで。
「だって、最近全然御坂くんとの時間がない…」
これが私の本音である。
バスケ部に入部してから、御坂くんとの時間が格段に減ったのだ。
朝練が週に三回か四回あるため、御坂くんと一緒に登校できるのは週に一度か二度しかなく。
放課後も会えるわけないのだから、一ヶ月の間で御坂くんと話せた日は数えられるほどだ。
そのため日に日に不満というか、モヤモヤが増えていき。
この状況に至っている。
「かわいいやつめ、理玖と会いたいのね」
「毎日会ってたの自体贅沢だったんだね…御坂くん、今大変そうだし……って琴葉、聞いてる?」
私がまだ話しているというのに、突然スマホを操作し始めてしまうから無視されたのかと思ったけれど。
スマホを手に持ったまま、視線を私に戻した琴葉。
「聞いてるよ。まあ部活で時間が割かれるのは仕方ないよ」
「そうだよね、やっぱり御坂くんの応援したいもん」
朝練がない日に御坂くんと一緒に登校するけれど、彼はバスケ漬けの日々に充実感を覚えているのだから本音を言えるわけがない。