御坂くん、溺愛しないで。



琴葉の言う通り、バスケ部に入部してからより一層御坂くんの存在は学校中に行き渡り。

女の子が御坂くん目的に、バスケ部の練習を観に行っていることもあるらしい。


琴葉から初めてそれを聞いた時からずっと、胸がもやもやしていてならない。



「御坂くん、このまま遠い存在の人になっちゃうのかなぁ…」

「あ、落ち込んだ」

「だって女の子たちも黙ってないよ、優しいしかっこいいし…御坂くんみたいな素敵な人、誰も放っておかないもん」


またため息を吐くと、それを見た琴葉がなぜかニヤニヤ笑っていて。

楽しそうに見える。


「うー、どうしてそんなに楽しそうなのさ」
「んー?どうしてだと思う?」

「……琴葉?」
「さっ、最後に咲の言いたいことを私に聞かせて」


楽しそうな理由は教えてくれないまま、また話を戻されてしまう。

< 225 / 345 >

この作品をシェア

pagetop