御坂くん、溺愛しないで。
恐怖でうまく頭がまわらない中、なんとか切り抜けられる方法を探していると───
「木原先輩!」
焦りの含んだ声。
それは確かに御坂くんのもので。
パッと顔を上げれば、校舎の扉から御坂くんが姿を現した。
「み、さかく…」
「理玖!?なんでお前がここに…」
「すみません、木原先輩から離れてください」
「は、え…」
御坂くんは睨むようにして男の人たちに視線を向けたかと思うと、私のそばまで駆け寄ってきた。
「先輩、大丈夫ですか」
「みさかく…怖いよ」
思わず手を伸ばし、彼の腕へと絡みつく。
怖かった、本当に。
頬に涙が伝う中、これでもかと言うくらい御坂くんに密着する。
この間も部活帰りの男の人たちに絡まれそうになり、御坂くんに助けてもらった。
本当に迷惑しかかけていない。