御坂くん、溺愛しないで。
「先輩、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないよ…御坂くん、何であんな嘘」
「そうすればもう容易に近づくことはないと思ったんで…先輩がこんなにも怖がってるのにまだ関わろうとするから」
つまり御坂くんは、私のためにあんな嘘をついたってことだろうか。
けれど十分あり得ることだ。
あの真面目な御坂くんが、さすがに好奇心か何かで嘘をつくのは考えにくい。
「そっか…ごめんね、ありがとう。
でも誤解は解いてくれると嬉しいです」
変に噂が流れてしまったら、それこそ御坂くんに迷惑をかけてしまう。
「嫌です」
「えっ…」
「誤解も何も、バスケ部の二年生が勝手に誤解してるだけで俺は別に“恋人関係”とは言ってません」
「はい?」
御坂くんは一体何を言っているのだ。
顔を上げれば彼は依然として真剣な表情をしている。