御坂くん、溺愛しないで。
「木原先輩」
「しゃ、喋っちゃダメです!」
「それは嫌です」
「なっ…」
御坂くんって意外と拒否してくる人。
少しぐらい私の言う通りにしてくれたらいいのに。
「俺の話、聞いてくれますか?」
けれど御坂くんは折れることなく、じっと私を見つめてそう聞いてきた。
こんな風に聞かれたら断れるはずがない。
私は諦め、一度だけ頷いた。
「ありがとうございます」
「うう…」
それでも御坂くんを見つめ返すことはできず、俯き加減でお弁当を食べ始める。
「俺、バスケ部に入ってからは暗い気持ちが嘘のように消えて前向きになれました。それほどバスケが好きだったみたいです」
そんなの、言われなくても知っている。
御坂くんはバスケが大好きだからこそ、あんなにも苦しんだのだ。