御坂くん、溺愛しないで。



「見てー、新入生初々しくてかわいいね」
「まだ制服が着慣れてない感じがねぇ」

二年の教室が並ぶ廊下を歩いていると、他のクラスの女の子ふたりが窓の外を見ながら何やら話していた。


会話の内容的に登校している新入生を見ているようで。

一年前は私たちが新入生として、まだ制服を真面目に着ていたなと思い返す。


「ねぇ見て、あの人めっちゃかっこよくない?」
「どれどれ……ってやば!イケメンだ!」

「えっ、見ない顔だよね?」
「制服もちゃんと着てるし…嘘、一年?」


ちょうどふたりの後ろを通った時、誰かを見てかっこいいと騒ぎだ始めた。

ふと気になった私は顔だけ横に向け、窓の外を見る。


すると門を通って歩いている人たちの中で、明らかにひとり、目立っている男の人がいた。

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