御坂くん、溺愛しないで。
「あっ、御坂くん!」
そして御坂くんの姿を確認できた私は、一直線に彼の元へと駆け出した。
「木原先輩」
彼は私を見て笑ったけれど、もしかして無理して笑顔を浮かべているのかもしれない。
そう思った私は御坂くんの目の前で立ち止まるなり、彼の両頬を自分の手で包むようにして触れた。
「えっ…」
「御坂くん、緊張のしすぎはダメです。
ゆっくり深呼吸しましょう」
じっと御坂くんを見つめ、少しでも落ち着かせようと努力する。
「御坂くん、早くしないと試合始まっちゃう!」
「あ、の…先輩、どうしたんですかいきなり…心臓に悪いです」
けれどなぜか御坂くんは照れくさそうに視線を逸らし、途切れ途切れに話し始めた。