御坂くん、溺愛しないで。



「ぶはっ、理玖がすげぇ動揺してる!」
「……へ」


するとその時、筧くんの笑い声が聞こえてきて。

慌てて振り向くと、筧くんだけでなく琴葉も笑っている様子。



「……秀太さん、木原先輩になんて言ったんですか」

思わず御坂くんの両頬に触れていた手を離すと、彼は少し怒ったような口調で筧くんに質問していた。


「悪い悪い、まさかここまで木原ちゃんが純粋だとは……ほら、緊張しすぎて強張ってるって言ったんだ」

「え…と」


どきりとした。

今の言い方からして、御坂くんが緊張しすぎているというのは嘘のようで。


「先輩、秀太さんの話は間に受けないでください」

「あ、あの…じゃあ御坂くんが緊張していたっていうのは…」


せめて嘘だと言ってほしい。
そう思っていたけれど。

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