御坂くん、溺愛しないで。
最初は目を見張り、私を見ていた真司くんはため息を吐いたかと思うと。
ゆっくり私の元へと近づいてきた。
「先輩、すみません。
この子俺の知り合いで」
「え、真司の彼女!?」
「彼女ではないですけど、まあ…色々あって。
ちょっとこの子借りますね」
丁寧な敬語を使いながら、うまく私をその場から連れ出してくれた真司くん。
今も彼のことを悪い人だと思っているけれど、これには感謝しかない。
「中央体育館に行きたいんですか?」
「えっ…」
「バスケ部の試合会場のところです」
「あ、うん…」
まさか私にまで敬語を使われるとは思っていなくて、素直に驚いた私。
「すみません、あなた先輩だったんですよね」
「まあ、一応…?」
「あまりにも子供っぽいんで同期だと思ってました」
「むっ、今のはひどい…!」
せっかく少しは好感度が上がったというのに、意外と言う人だ。