御坂くん、溺愛しないで。
「だってエースに故意で怪我させたんですよ?
その事実も隠したぐらいです」
「ダメだってわかってるなら、どうして…!」
「ずっと悩んでたんです。塞ぎ込んだ様子の理玖を見て、推薦を全部断った理玖を見て、俺は取り返しのつかないことをしたんだなって」
来た道とは違う、間違って来てしまった体育館裏を通っていた私と真司くんだったけれど。
突然彼の足が止まった。
「だからせめて謝らないと。
そう思ってたけど、時間だけが過ぎてました」
真司くんは目を細めながら、空へと視線を向けた。
その瞳には反省の色が浮かんでいる。
「ずっと過去の過ちが心に残っていて、どうにかして理玖に謝罪したい。今も理玖はバスケから逃げて苦しんでいるかもしれない。
理玖はバスケをするべき人間なのに、それを俺は奪った。そんな自分が今は醜く思えます」
次に空へ向けていた視線を私へと向けた彼。