御坂くん、溺愛しないで。




「試合前に、ほら…イライラしちゃったら害だよ」
「だったらどう責任とってくれるんですか」

「そ、それは試合が終わってから話そう…?」
「無理です」


どうしよう、御坂くんが拗ねモードになってしまった。

子供のようにムッと拗ねている。


「じゃあどうすれば機嫌なおしてくれる?」
「……約束してください」

「約束?」

「この試合で勝ったら、正々堂々上書きさせてください」

「……っ」


御坂くんはわざとやっているのだろうか。

そう言うなり、私の唇にそっと親指を添えてきたのだ。


上書きというのは、同じ場所にキスをすることによって成立することだというのに。

御坂くんは明らかに唇のことを指している。

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