御坂くん、溺愛しないで。



「わかった。
私も御坂くんの貴重な時間、もらいます…!」

「俺がもらう側なんですよ」
「私ももらうの!」


一週間後にまた試合があると言っていた。

そのため明日からまた練習ばかりの日々が始まり、御坂くんとの時間は中々取れないに違いない。


そう考えたら今の時間がとても貴重だった。



そっと、御坂くんに優しく手を握られ私も握り返す。

ここ一ヶ月も本音を言えば寂しかったけれど、忙しい中で御坂くんが私との時間も確保してくれたため、何とか今日まで迎えることができた。


「御坂くん」
「何ですか」

「来週も頑張ってね」

「ありがとうございます。先輩には寂しい思いさせてばかりですよね…すみません」

「ううん、私のことは大丈夫」


それをわかってくれているだけでも十分なのだ。

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