御坂くん、溺愛しないで。
「御坂くんは行きたいところ、ないの?」
「先輩と一緒ならどこでもいいです」
「映画とか、ショッピングでも?」
「もちろんです」
じゃあ本当に私が決めていいのだろうか。
御坂くんはまったく拒否の言葉を口にしない。
そのため私は行きたいところを言葉にするだけで、結局どこに行くのか決まらないまま家の最寄りへと着いてしまった。
「うーん、御坂くんと行きたいところだらけだよ」
駅からの道もふたり、自然と手を繋ぎながら歩いていた私たち。
「時間はかかるかもしれないですが、全部行きましょう」
「あっ、ずるい…それ言われちゃ決められないよ」
私だって全部行きたいけれど、まずは初デートの行き先を考えなければ。