御坂くん、溺愛しないで。
「先輩、デートの話は後にしてください」
「えっ…」
「まずは今日ケジメをつけて、試合にも勝てたんで…約束、守ってもらいますよ」
御坂くんがニヤリと意地悪く笑うものだから、ドキッと胸が高鳴った。
「そ、その件は…あの」
「今更ダメとか言わないでくださいね」
すっかり忘れていたとか、そういうのじゃないけれど。
本当に御坂くんは約束を覚えていたんだな、なんて思ってしまい、途端に緊張してしまう。
だってこれから私は御坂くんの彼女になって、き、キスというものをするということだよね?
そんなの心臓がもたない気がする。
そう思った私は言葉を発せなくなり、口を閉じて黙ってしまった。
「先輩が大人しくなった」
「……っ」
「俺も結構緊張してるんで、そこまでガチガチになられると移ります」
そんな風には見えない。
御坂くんがドキドキしているだなんて。