御坂くん、溺愛しないで。



「御坂くん、ありがとう」
「お礼を言うのは俺のほうです」

「えっ…」
「俺のそばにいてくれてありがとうございます」


少し照れくさそうになったのか、そう言って炭酸飲料を飲み始める御坂くん。

私も小さく笑い、もらったリンゴジュースを喉に通した。


ひんやりしていて、気持ちいい。


「先輩のおかげです。ここまで来れたのは」
「わ、私は何も…」

「ずっと逃げてた俺を向き合わせてくれました」
「でも乗り越えたのは御坂くんだよ」


そこは自信を持って欲しいと思い、はっきりと口にすれば。

御坂くんは目を細めて笑った。


「それも先輩がいたから乗り越えられたんです」
「……へ、私?」

「そうです。ずっと応援してくれて、一緒にいる時は隣で笑いかけてくれる。そんな先輩の存在が愛おしくて、とても大きかったです」


スッと、御坂くんの右手が伸びてきて、私の頬に添えられた。

どうしてだろう、御坂くんから目を逸らせなくなる。

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