御坂くん、溺愛しないで。



「今だから言えるんですが、中学の時琴葉さんが羨ましかったんです」

「……えっ、どうして?」


初めて聞くことだ。
御坂くんは一体、琴葉の何を羨ましく思って───


「先輩がいつも琴葉さんのことを誰よりも近くで応援していて、部活後にお菓子をあげたりしてるのをよく目撃してました」


それは以前にも御坂くんから聞いたことがある。

私が家庭科部の活動中に作ったお菓子をよく琴葉にあげており、その場面を見たことがあると御坂くんは言っていた。


でもそれの何が羨ましかったんだろうか。

その理由はわからないでいると、また御坂くんが口を開いて理由を説明してくれた。


「先輩は琴葉さんのところへ来た時、いつも笑ってました。明るくて、眩しい笑顔です。

心から笑いかけていて、嘘偽りない。そんな笑顔で出迎えられる琴葉さんが羨ましいなって」


どきりとした。

もし御坂くんの言っていることが本当だとしたら、彼は私のことを中学の時から見ていたということ?

< 340 / 345 >

この作品をシェア

pagetop