御坂くん、溺愛しないで。
けれど少しして状況が落ち着くと、どちらからともなく笑い合って。
「……結構照れますね」
「そうだね。反応に困るや」
「じゃあお互いの顔が見えないようにしますね」
「え…」
御坂くんはそう言って私の背中に手を回し、そっと抱き寄せてきた。
御坂くんの腕の中にすっぽりとおさまる私の体。
ああ、幸せだなって。
すごく幸せ。
御坂くんと触れ合い、隣にいられることがこんなにも幸せなんだ。
「御坂くん」
「はい」
「今とても幸せなの」
「奇遇ですね、俺もです。
これも先輩のおかげですね」
「あ、その言い方はずるい」
「先輩もストレートに言うんでずるいです」
自然と溢れる笑み。
御坂くんの抱きしめ方は優しくて落ち着く。
いつまでもこのままでいられそうだ。
ゆっくりと顔を上げれば、御坂くんと目が合う。
思った以上に近い距離だったため、恥ずかしくなった私は御坂くんの胸元に顔を埋める。
「もー、かわいいことしないでください先輩」
「恥ずかしくて…へへ」
「俺も恥ずかしいです」
「じゃあお揃いだ」
これから私は御坂くんの彼女としてそばにいられる。
そう思うと嬉しくて、思わず御坂くんの背中に手をまわした私はぎゅっと彼に抱きついた。
すると御坂くんもそれに応えるかのように、ぎゅっと力強く抱きしめ返してくれた。
そのため溢れそうになる“好き”の気持ち。
どうしようもなく御坂くんを好きな私がいて。
これから先、御坂くんとなら何があっても乗り越えられる。
そんな気がした。
END