御坂くん、溺愛しないで。



「え、ど、どうして…!」

駅前でひとりの男の人が立っていることに気づいた私は、咄嗟に琴葉の後ろに隠れてしまう。



「こら咲、隠れない」
「なんで御坂くんがいるの!?」

そう、駅前で立っていた男の人は昨日対面したばかりの御坂くんだったのだ。


入学して一週間と少ししか経っていないというのに、もう制服を着こなしている様子で。


初々しいとか全く思わない。

むしろクールでかっこいい年上の男の人と感じられるのである。


「理玖ー!」

私は驚き、琴葉の後ろに隠れたというのに彼女はまったく味方してくれず。

御坂くんを大きな声で呼んでしまった。


するとすぐに御坂くんはこちらを向き、小さく頭を下げた。

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