御坂くん、溺愛しないで。



「木原先輩、俺のこと無理になっているんですか?」
「んー、どうやらそう見たいね」

「そんな…」


さすがの御坂くんもショックを受けている様子。

当たり前だ。
昨日あんなに気遣ってくれたというのに。


私なんかのために頑張ってくれたというのに。
それを無駄にしてしまったのだから。

頑張って足を進めたいけれど、まったく進まない。
そもそも力がうまく入らないのである。


「てことで理玖、またイチから頑張ってね」
「……はい?」

「私は先に行くから。じゃあね、咲。
学校で会えることを願ってるよ」


さすがに嘘だろうと思っていたけれど、琴葉は本当に改札を通ってしまい。


「こ、琴葉待って!やだよ!」

思わず叫んだけれど、琴葉は振り向かずにその後すぐきた電車に乗って行ってしまった。

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