御坂くん、溺愛しないで。



「先輩って甘いもの好きですか?」
「甘いもの……好きだよ」

「そうですか、良かったです」


けれど、どうして今それを聞くのだろう。
それに御坂くんは今、良かったとも言った。

思わず首を傾げると、その袋から何かお菓子を取り出した御坂くん。


目を凝らして見ると、ピンクや赤やオレンジ、ブルーやグリーンなどといったカラー付きのハートがたくさんパッケージにデザインされているチョコのお菓子だった。


それを持つ御坂くんは明らかに浮いていて。
正直似合わないと思ってしまう。


「これ、先輩が好きそうだなって思ったんで買ったんです。コンビニ限定のデザインらしいですよ」

「え……買う時、恥ずかしくなかった…?」

「もちろん恥ずかしかったです。店員さんに『え?』って顔されました。だから受け取り拒否は泣きますよ、俺」


そう言って照れくさそうに笑う御坂くん。

そんな彼を見ていると、あっという間に心がポカポカ温かくなるのがわかった。

< 85 / 345 >

この作品をシェア

pagetop