御坂くん、溺愛しないで。
やっぱり御坂くんは不思議な人。
まるで魔法使いのようだ。
嘘みたいに先ほどまでの恐怖心が消え、ゆっくりと御坂くんに近づく私。
「これ、受け取ってくれますか?」
そして御坂くんの目の前に行けば、満足そうに笑ってもう一度聞いてきた。
「……はい、御坂くんありがとう」
自然と笑顔が溢れ、素直に受け取った。
パッケージからかわいいチョコレートのお菓子を、彼は私のために買ってくれたのだ。
そう考えただけで嬉しい気持ちになる。
「…………」
「御坂くん?」
けれどなぜか私をじっと見つめたまま黙ってしまう御坂くん。
思わず名前を呼んだけれど反応はない。
「あの、御坂く…」
「嬉しいです」
「えっ」
「先輩の笑った顔を向けられて」
私が御坂くんの言葉を理解する前に、目を細めて優しく微笑まれる。