恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
新人秘書は、多難です。

秘書、並木茉穂

「並木くん。悪いけれど、この書類頼める?」
渡されたのは、学会の発表用に書いた原稿。
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、お願いします」
ボスから入力を依頼された。

ここは皆川総合病院。
関東近郊の地方病院。
そこの副院長秘書が私、並木茉穂(なみきまほ)22歳。
今年地元の大学を卒業したばかりの新社会人。

「並木くん、カンファレンスの資料はどこにやったっけ?」
え?
「先ほどデスクの上までお持ちしましたが」
「ああ、あった」
もー、ボスったら。

フフフ。
私は上司のことをボスと呼んでいる。
でも、これは秘密。
とにかく、うちのボスはとってもかっこいい。
本当に、見ているだけで目の保養になりそうな外見。
その上医者で、大病院の副院長。
こういう人のことを王子様って言うんだと思う。

「何笑ってるんだ?」
「いえ、書類は昼までに用意します」
「ああ、頼む」
そう言えば、今日は外来担当の日。
って事は、ボスは午後まで帰って来ないのね。
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