恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
「どうしよう、どうしよう」
その言葉だけが、頭の中で回り続ける。

もうボスの側にはいられない。
病院にもいられない。

ボロボロと朝まで泣き続けた。
色々あったけれど、好きな職場だったのに・・・悔しい。

でも仕方ない。
逃げるしかない。


朝、夜明けよりも早く起きた。

当然、ボスはまだ眠っている。

なるべく静かに、部屋に置いていた荷物をまとめ、スーツケースとバックに詰め込んだ。


キッチンには昨日の夕食の残骸。
食器やグラスをかたずけて、簡単に朝食の支度もした。
これがボスに作ってあげられる最後の食事だから、本当はもっときちんとしたかったけれど、この状況ではどうしようもない。

リビングと洗濯物の片付けをし、お風呂場の掃除もした。

「短い間でしたが、お世話になりました」
玄関で深々と頭を下げ、私はマンションを後にした。
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