恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
キョロキョロと周りを見回す私。
正面は消防の人がいる。
けれど、裏の非常口は人影がない。

よし。
ボスの目を盗んで、私はアパートに入った。


ゴホゴホ。
ハンカチで口元を押さえ、桜ちゃんの部屋へ。

さすがに玄関は鍵がかかっていて、近くの窓ガラスを割り中へ入った。
部屋の中は煙っている。

前が見えない中、手探りでリビングへ向かい、手近にあったバックに、写真、アルバム、引き出しの母子手帳を入れる。
早く戻らないと。
このままじゃ、煙に巻かれて死んでしまう。

転がるように玄関へ向かい、玄関の扉に手をかけた途端、
「熱っ」
ドアが熱くなっていた。
マズイ、早く早く。

隠れることも忘れ、私は正面から外に出た。
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