恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
初めて足を踏み入れた高級マンション。

生活感のない部屋は
「ホテルみたい」
「褒め言葉と受け取っておく。とにかく、座れ」
って言われ、傷の消毒と、やけどには軟膏を塗ってくれる。
そういえば医者だったのね。

「ありがとうございました」
「これからどうする?」
「戻って仕事を」
「怪我してるのに?」
「でも、締め切りが・・・」
「俺も武広に届けさせるから、君もそうしろ」
「でも・・・」
考えてみれば良い案かも。

今頃の病院は電子カルテ化が進んでいて、その分個人情報の管理も厳しい。
データの院外持ち出しなんてもってのほかだし、外部リンクとの接続も制限されている。
できるのは専用USBを持っているドクターと課長以上の管理職のみ。
よし、今日は病院の外で仕事が進められる。来週までの仕事も一晩あれば終わるかも・・・

なんだか急に明るい未来が見えてきた。

こういう時の希望的観測って、往々にして外れることを私は忘れていた。
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