恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
その時、
プププ。
内線が鳴る音。

「はい、副院長室です」
『副院長先生におかかりの患者さんから外線ですが?』
「先生にですか?」
『ええ、できればお話ししたいと』
こんな電話は珍しくはない。
大抵は外来の看護師が対応してくれるけれど、中には「先生と直接話をしたい」と訴える人もいる。
「お待ちください」

電話を保留にして、ボスに患者さんの名前を伝える。

「うん、変わります」
即答だった。

ボスは病棟の患者は持たないから外来で診た人なんだろうけれど、こうやってすぐに電話に出てくれるドクターって多くはない。
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