恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
仮眠を取って、朝8時。
「ねえ、おにぎりを作って」
と言われ用意した。

おかか、うめ、こんぶ。
珍しくもないけれど、安心できる味。
小さい頃母さんが作ってくれた通り、少し塩を多めにきかせて握った。

「うわ、うまそう。一個もらうぞ」
すでに口に運んでいる。
「朝食、何か作りましょうか?
「これでいい。支度したら、出かけるぞ」
「どこに行くんですか?」
「山」
「山?」
「登山しよう」
無理無理。
登山どころか、ハイキングもしたことないのに。
「心配しなくてもそんなにすごい山じゃない。服もあり合わせ、ハーフパンツにTシャツでいい。靴と靴下だけ途中で買おう」
すっかり、予定をたててしまっているボス。

なんだか経験者っぽいけれど。
本当に大丈夫だろうか。

「頑張って登ったら、帰りに日帰り温泉に入って、地元のパン屋に寄ろう。・・・いいだろう?」
うーん、それは楽しそう。

「決まりだな」
私の反応をイエスと理解したらしいボスは、1人で支度を始めてしまった。
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