恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
数分後、

トントン。
ノックと共に開けられたドアから入ってきた女性。

うわー綺麗な人。
ヒールを履いた身長は170センチくらい。
意志の強そうな目と、はっきりとした顔立ち。
少し小麦色の肌に、茶色いロングウエーブの髪。
健康的な美人さん。

「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
立ち上がって頭を下げた。

「どうぞ」
副院長室から顔だけ出して、お客様を迎えるボス。

「並木くん、お茶はいいから」
「はい」
ってことは、気心の知れた親しい人ってことね。

執務室に2人が入っていくと、私は『東都医大の和田瞳さん』についてリサーチをした。
和田瞳さん。
外科医。
30歳。
えー、見えなかった。まるでモデルのようで、年齢不詳な感じ。
ああ、ボスの同期なんだ。
それにしてもかっこ良すぎるでしょう。

『ハハハ』
『もう、真之介ったら』
楽しそうな声が時々聞こえる。

ヤナ感じ。


30分ほど後、

「外出します。今日はこのまま直帰するから」
「はい」
ドアが開き、2人で出て行く。

見送るように立ち上がった私のデスクに、ボスがメモを残した。
『今日は遅くなる。夕食、ごめん』
大丈夫。平気だから。

私はただの同居人。
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