素直になれたら
それに万一言えたとしても、真生子ちゃんと違って、私は多分許されない。
悲しいけれど、真生子ちゃんと私じゃポテンシャルが違うってくらいわかってる。
だから私は、もう、頑張る以外道がない。

相田さんが怖いってことと、忙しすぎるのは嫌だけど・・・仕事内容は嫌いじゃないし、頑張るのが嫌ってわけでもないしね)

「よし!」と気合いを入れ直し、仕事に向き合う心菜の元に、華歩が歩み寄ってくる。

華歩「心菜ちゃん、どう?仕事は慣れた?」

優しい笑顔の華歩。
心菜はほっとした顔をしてから苦笑い。

心菜「なかなか。次から次に新しく覚えることが出てくるので・・・慣れる日が来るのかなって、かなり毎日不安です」

華歩は笑って、

華歩「そうよね。本当に、制作部の人は大変だなっていつも思うよ。でも、心菜ちゃん、相田くんの下でよく頑張ってるよ。相田くんも、言わないだろうけどそう思ってると思う」

心菜、難しい顔をする。

心菜「・・・そうでしょうか。そんな気配、全く見えないんですけど」

華歩「ふふっ。相田くんは言わないからね。でも、相田くんについて行けずに、辞めちゃった子とか結構いたもん。女の子で、文句も言わずにここまで頑張ってるのって、私はほんとにすごいと思うよ」

心菜「う、うーん・・・。そうなんですかね・・・」

心菜(文句なんて、直接は怖くて言えないだけだけど・・・。
友達とか、真生子ちゃんと時々飲んで愚痴ったり、こうして華歩さんに聞いてもらったりして、なんとかなってる感じかな・・・。

華歩さんは、相田さんと同期で営業事務の主任をしている。
綺麗で優しくて仕事ができて、私の憧れの女性なのだ)

華歩は、胸まであるややパーマがかった髪をさらりとかき上げる。
その様子に見とれる心菜。
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