素直になれたら
心菜(・・・って、いやいやいやいや!今日の相田さんは、完全レアケースだもんね!!

朝のお茶とメロンパンで、私の中の相田さん評価が少しアップしたことは間違いがない。
だけどそれはそれとして、普段の相田さんの言動を思い起こせば、マイナス1が0になったくらいのものだ。

うん、そうだ!!そういうことだ!!
タイマーセットは内緒にするし、眉毛ないってわざわざ指摘してくるし、メロンパンぐらいでいつもの言動がチャラになるとかないもんね!!)

心の中で、「うんうん」と頷く心菜。
相田は心菜を振り返り、訝しげな顔をする。

相田「井藤。おまえはなに一人で小芝居してるんだ」

心菜、「え」という顔をする。

相田「かなり貴重な機会なんだぞ。小芝居は後でいいから、今はしっかり日下部さんの話聞いとけ」

心菜、はっとして日下部を見る。      
日下部はにこにこしている。心菜、恥ずかしそうに俯く。

心菜(・・・そうだ。相田さんのこと考えてる場合じゃなかった・・・。

せっかく今は東京で・・・こんな大きなキー局で研修が受けられるなんて、多分、これはほんとにすごい事なわけで・・・)

心菜、働いているスタッフたちを見る。
皆、懸命に仕事をしている。
    
心菜(・・・そうだ、私も、こういう顔をしたいって、そう思って転職したんだ)

思い出したように、はっとした顔になる心菜。

心菜「すみません」      

相田と日下部に頭を下げる心菜、気合いを入れ直す。
日下部、にっこりと笑い研修を再開。
相田、ため息をつき、真剣な表情になった心菜の横顔を見つめる。



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