素直になれたら
心菜「は、はい!?」

相田「つらいって、なんかして欲しいことある?」

心菜「へ・・・?い、いえ、なにも」

面食らっている様子の心菜。
   
相田「飯は?食ってないだろ」

心菜「はい。でも、さっき冷蔵庫のオレンジジュース飲んだので。大丈夫です」

電話越しに、「はあ!?」という相田の声。
心菜、大きな声に目をつむる。

相田「夕飯それで済ます気か。明日本気で倒れんぞ」

心菜「で、でも、もう動きたくないしそんなに食欲ないしで・・・」

ビクビクとした様子で電話している心菜。

相田「コンビニで食えそうなものなんか買ってくるから。なにがいい?」

「え」と驚く心菜。
電話を持ったまま首を振る。

心菜「大丈夫です大丈夫です!!ほんとに私、ジュースだけで・・・」

相田「・・・頑固だな。いい。じゃあ、オレの独断で買ってくる」

心菜(ええっ!?)

ブツッと電話が切れる。
呆然とする心菜。

心菜(大丈夫って言ったのに・・・!!もう、本当に自分勝手自分勝手!!
・・・っていうかどうしよう、相田さんを買い物に行かせるなんて・・・)
   
ベッドの上に起き上がり、落ち着かない様子の心菜。
ボサボサの髪。服はシワシワ。
しばらくすると、ドアをノックする音。
   
相田「オレだけど」

ドア越しの声。
心菜、ビクビクしながらドアを開けに行く。
鍵を開け、扉を開くとレジ袋を下げた相田が立っている。
相田の髪は少し乱れている。

相田「ちょっと、入っていい?」

心菜「えっ!?!?」

相田「重いから」

視線で心菜を壁にどかせると、相田は部屋の中へと入っていく。
テレビ台の上や、椅子に広げている荷物に気づき、焦る心菜だが、相田はそれらに目もくれない。
窓際にあるミニテーブルの上に、レジ袋をのせて中身を取り出す。
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