素直になれたら

○ホテル・心菜の部屋・外（朝）

身支度を整え、スーツケースを引いた心菜が慌てた様子で部屋から出てくる。
廊下に相田が立っていて、驚く心菜。

心菜「あれ？おはようございます・・・」

相田「おはよ」

相田の足下にもスーツケース。
手にはカードキー。

心菜「あの、えっと、ロビーに８：４５待ち合わせじゃ・・・」

不思議そうに相田を見る心菜。
相田は心菜の手からスーツケースをさっと奪う。

心菜「！？」

相田「おまえは平気じゃないのに『平気です』って答えるだろ。だから、聞かないで来た」

心菜「えっ！？」

相田は、自分と心菜、２つのスーツケースを両手で引いて歩き出す。

心菜（それで、スーツケースを持ってくれるの？って、いやいや！！）

心菜「本当に大丈夫ですよ！！スーツケースなんて、転がすだけだし」

相田に駆け寄り、自分のスーツケースを引き取ろうとする心菜。
相田は心菜をジロリとにらむ。

相田「いい。絨毯の上って引きにくいし」

構わずに両手でスーツケースを引く相田。
心菜は戸惑いながら後を追う。